左肩が腕を上げると痛い患者さんの1症例

いつもブログをご覧頂きありがとうございます。

今日は左肩が腕を上げると痛いという患者さんの1症例を記事に書きました。

四十肩・五十肩などで無くとも腕を動かした時に痛みが出ることは沢山あります。

四十肩・五十肩以外で肩が痛くなる人には特徴などもありますし、それらの特徴を放置していくと四十肩・五十肩に進行してしまうケースもあります。

肩が痛い時に考えられる疾患や、四十肩・五十肩では無いのに何故肩を動かした時に痛みが出るのか?今回の患者さんの施術の経過も含めて説明をしました。

四十肩・五十肩では無いけど、肩が痛くて上がらない方に対してご参考になれれば幸いです。

肩を動かした時に痛みが出る場合に考えられる疾患

肩を動かした時に痛みが出ると、四十肩・五十肩かな?と思う方は多いと思います。

四十肩・五十肩も考えられますが、四十肩・五十肩になると激痛で夜も眠れないぐらい痛みが出ます。

四十肩・五十肩については以前記事にも書いてありますので、ご参照下さい。

https://kaijin-seikotuin.com/category/sijukata-gojukata/

四十肩・五十肩以外に、肩を動かした時に考えられる疾患は以下のものがあります。

  • 腱板断裂
  • 胸郭出口症候群
  • 石灰沈着性腱板炎
  • 頚椎ヘルニア
  • 頚椎症
  • 内臓疾患

などが挙げられます。

それぞれに細かく説明をすると長文になるのですが、要約して説明をします。

腱板断裂

腱板断裂とは、肩関節を支えている腱の老化が始まる40歳以上の人に多く見られます。

五十肩の症状と似ているのですが、五十肩は肩関節の動きが大きく制限されます。

腱板断裂では関節の動きがあまり制限されないことが多く、腕の上げおろしで痛むという特徴があります。

胸郭出口症候群

つり革につかまる時や、腕を挙げる動作で肩や腕、肩甲骨周囲に痛みが生じます。

時折、手の握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動麻痺の症状があります。

石灰沈着性腱板炎

夜間に突然生じる激痛があり、痛みで睡眠が取れず、関節を動かすことが出来なくなります。

四十肩・五十肩と似ていて炎症期、拘縮期、回復期などの3段階に分けて分類されます。

40~50歳代の女性に多くみられ、肩関節内に沈着したリン酸カルシウム結晶により炎症が生じる事によって起こる肩の疼痛・運動制限です。

頚椎ヘルニア

背骨をつなぐクッションの役割をしている椎間板が主に加齢変化により後方に飛び出すことによって起こります。

悪い姿勢での仕事やスポーツなどが誘因になることもあります。

飛び出す場所により、神経の圧迫、脊髄の圧迫あるいは同時に起こり痛みや痺れなどの症状を出します。

頚椎症

中年~高齢の人で肩~腕の痛みが生じたり、腕や指に痺れが出たりします。

首を上に向けると痛みが強くなり、うがいをすることが不自由になります。

加齢変化による頚椎の変化によって、神経根が圧迫されたり刺激されたりして起こります。

内臓疾患

心臓、胃や膵臓、逆流性食道炎などで痛みや凝りが現れることもあります。

一般的には上記のような診断を言われるか、あるいは上記のものに分類されずに異常なしと言われるかのどちらかだと思います。

四十肩・五十肩で無いのに肩を動かした時に痛みが出るのは何故?

特に病院で検査をしても異常なしと言われても肩の痛みは続いているという患者さんは多いです。

特に四十肩・五十肩で無いのに肩を動かした時に痛みが出るケースでは、以下の要因で起こる事が多いです。

  • 背骨のズレ
  • 巻き肩
  • 痛い部分の筋肉が緊張している

シンプルですがこの3点が主に影響を及ぼしています。

特に当院では背骨のズレが主に影響を及ぼし、巻き肩と筋肉の緊張を及ぼしていると考えております。

その説明をそれぞれにしていきます。

背骨のズレ

肩の痛みを訴えている方の背骨のズレを矯正していくと痛みが消えていきます。

過去にも似ている症例の記事がありますのでこちらもご参照にして下さい。

頚椎のズレから右肩〜右腕に痛みとしびれが出ていた患者さんの1症例

急に肩が上がらなくなってしまった患者さんの1症例

肩が痛くて後ろに回らない患者さんの1症例

肩の痛みに対して背骨のズレが関係しているメカニズムですが、痛みを感じるには神経を介して痛みを感知しています。

特に痛みを感じ取る神経が集中しているのが

  • 皮膚(真皮)
  • 筋膜
  • 関節包

の3つに集中しております。

なので、肩を動かした時に痛みが出ているのであれば、痛みが出ている部分の皮膚がパンパンに張っているか?(皮膚を摘めないぐらい)

筋肉がガチガチに固まっているか?

関節の動きが悪くなっているか?

と確認をするとほとんどが悪い状態に陥っています。

では、何故この3つが固くなっているのか?

肩の痛い部分に向かう神経の根元は頚椎・胸椎という背骨から出ております。

画像では、頚椎という骨の部分から神経が腕に向かって出ておりますが、胸椎という背中の骨からも肩に向かって出ております。(黄色いのが神経)

なので、肩の痛みが出ている部分も皮膚・筋膜・関節は固まっているので、患部に対して施術するのも大切ですが、そこに繋がる神経の大元の背骨のズレを矯正してあげるとより良い効果が出るのです。

巻き肩

巻き肩は、その名の通り肩が内方に巻き込まれてしまっている状態です。

上の画像のように肩の内側には神経と血管が通っています。

巻き肩ですと、この神経と血管を圧迫してしまい周囲の筋肉を固くしてしまいます。

ただ、巻き肩になりやすい方は頚椎や胸椎がズレている為に起こりやすくなっています。

背骨のズレと巻き肩がセットで起きていると、より肩に悪い影響が出ます。

痛い部分の筋肉の緊張

これは至ってシンプルですが、痛みが出ている部分の皮膚・筋膜・関節は固くなっている事がほとんどです。

固くなっている部分は、背骨のズレ、巻き肩が関与して結果的に起こってしまっているのです。

背骨のズレから筋肉が固くなる流れ

先ほどの話を要約すると

頚椎・胸椎がズレる

肩に向かう神経と血管に対して影響が出る

巻き肩になっていく

更に神経・血管を圧迫してしまう

肩の皮膚・筋膜・関節を固めてしまい痛みが出る

という流れになります。

なので、肩を動かした時に痛みが出る方はまずは周囲の筋肉を緩める事も大事ですが、大元の背骨のズレを矯正することも大切です。

どちらか一方だけでなく、双方に対して施術していくとベストなのです。

今回の患者さんの状態

男性の患者さんで、趣味として楽器の演奏、ご来院された時は仕事がとても忙しく疲労困憊な状況でした。

体の所見として

  • 痛みが出ている左肩の筋肉はガチガチに固まっている
  • 頚椎・胸椎・腰椎・骨盤と全ての背骨のズレが著明
  • 巻き肩が著明
  • 股関節がガチガチに固まっている
  • 腹部がパンパンに張っている
  • 姿勢を伸ばす事が出来ない

と悪い所の多さにビックリしたのを今でも鮮明に覚えています^^

そのぐらい酷い状態で左肩の痛みだけで済んでいるのが不思議なぐらいです。

股関節の硬さも肩に関与してくるので、施術の説明として

  • 背骨のズレ
  • 巻き肩
  • 筋肉の緊張
  • 股関節の硬さ

を取っていく事を説明し施術に入らせて頂きました。

施術の経過

施術のペースは週1回で行わせて頂き、痛みの度合いを測る指標としてペインスケール(P.S)を用いて評価をしていきました(P.S10が痛みマックスとして)

初診日(5/4):施術後P.S10→6。

2回目(5/11):前回よりも痛みの度合いは下がっているとの事、少し首も気になる感じが出現してくる。施術後P.S10→5。

3回目〜4回目(5/24):徐々に左肩の痛みは気にならなくなってくる。

その代わり、首〜背中にかけて辛さが感じるのと、背骨の柔軟性が極端に低く中々姿勢を伸ばせない状態。左肩のP.S自体は0。

5回目〜6回目(6/15):左肩の痛みは落ち着く。

痛みは無くなった為、今後は体の柔軟性をアップさせていく事を中心に3週間に1回の施術でメンテナンスしていく流れになる。

今回の患者さんの考察

今回の患者さんは体全体の筋肉の緊張と背骨のズレが著明な状態でしたが

患者さん自身は左肩の動かした時の痛みだけがメインとして訴えていたのです。

しかし、施術が進んでいくウチに、左肩の痛みが落ち着いてきて首の痛みや腰の慢性的な疲労感などを感じるようになってきました。

全身の筋肉の緊張と背骨のズレがある方は状態が回復してくると、今まで気がつかなかった体の不調を感じるようになってくるのです。

その場合不安に陥ることはなく、逆に出てきた痛みや症状に対して一つ一つ施術を繰り返していく事で体は更に回復していきます。

今回の患者さんは体の状態から時間がかかるだろうと予測していたのですが、施術の反応が早く思った以上に回復していきました。

人間の回復力には差があるのですが、今回の患者さんの回復力のすごさに感心しました。

まとめ

  • 肩を動かした時に痛むと四十肩・五十肩をイメージしますが、四十肩・五十肩以外でも肩の痛みは出る
  • 病院で検査をしても異常なしと言われるが、痛みが中々治らない方も多い
  • 肩を動かした時に痛みが出る場合、背骨のズレ、巻き肩、筋肉の緊張の3つが関与している
  • 股関節の硬さも肩に関係しますが、そちらは今後記事に書いていきます

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